サプリは何を飲めばいい?

市販サプリメントの半数以上は「問題アリ」!?その不調、サプリが原因かも

GMPマークの製品は品質が保証されている?その信頼性とは

現在、市場に出回っているサプリメントの半数以上は、何らかの問題を抱えている可能性が極めて高いと考えられます。
東京都が平成30年(2018年)に行った調査結果は、この現状を如実に示しています。
この調査では、実に半数以上の商品で不適切な表示や広告が確認されました。
驚くべきことに、このような調査は近年毎年実施されていますが、毎回高い割合で製品表示や広告における法令違反が見られるのが現状です。
これは、一部の製品が消費者の誤解を招くような表現を使っていたり、根拠のない効果を謳っていたりすることを意味します。

実際にテレビやインターネットのニュースで報じられたサプリメント問題も記憶に新しいかと思います。
しかし、これは氷山の一角に過ぎないのかもしれません。
半数以上の製品に問題があるというこの事実は、サプリメントの製造工場の状況からも推測できます。

日本国内には、サプリメントを製造している工場が4,000〜5,000ほどあると言われています。
これに対し、GMP(適正製造規範)という医薬品レベルに準じた厳格な管理基準でサプリメントを製造している工場は、わずか200程度に過ぎません。
この数字は、全体のわずか数パーセントに過ぎないことを示しています。
サプリメントは医薬品とは異なり、その製造や品質に関する明確な法的な基準が設けられておらず、一般の「食品扱い」とされているため、このような状況が生まれています。
このため、厚生労働省でさえ、消費者がサプリメントを購入する際の目安として、GMP工場で製造されたものを選ぶようにすると良いかとは思います。

もちろん、GMPの認証を受けていない工場の中にも、独自の厳しい基準を設けて適切に製造を行っているところは存在するとは思います。
しかし、第三者機関による厳正な審査を経て認証を受けている工場が圧倒的に少ないという事実を鑑みると、消費者が本当に信頼できる品質のサプリメントを見つけることは、非常に困難であると言わざるを得ません。
品質に対する明確な基準がない中で、安全で効果的なサプリメントを選び出すのは、まさに「砂漠で針を探す」ようなものかもしれません。


もしかして不調の原因はサプリメント?見過ごされがちなリスク

現代社会において、多くの人が健康維持や美容のためにサプリメントを試した経験があるのではないでしょうか。その際、ご自身の体調にどのような変化がありましたか?
体調は良くなりましたか?
それとも、全く変化がなかったでしょうか?
中には、かえって体調が悪くなったという経験を持つ人もいるかもしれません。

日々の食事に気をつけ、積極的にサプリメントを摂取しているにもかかわらず、一向に体調が改善されない、あるいはむしろ悪化していると感じる人は、もしかしたらそのサプリメント自体が不調の原因となっている可能性も十分に考えられます。
特に注意が必要なのは、乳糖不耐症や牛乳アレルギーを持つ人々です。

サプリメントの製造過程では、粉末状の有効成分を錠剤やカプセルに固めるために、賦形剤(ふけいざい)と呼ばれる成分が使われます。この賦形剤として最も一般的に使用されるのが乳糖(ラクトース)です。
乳糖は加工しやすく、取り扱いが容易であるため、多くのサプリメントで採用されています。
しかし、この乳糖が思わぬ体調不良を引き起こす原因となることがあるのです。

日本人のおよそ8割は乳糖不耐症だと言われています。
牛乳を飲んだ後に、お腹がゴロゴロしたり、下痢をしたりといった経験がある人は多いのではないでしょうか。
これは、牛乳に含まれる乳糖を、体内でうまく分解できないために起こる症状です。
もともと日本人は、乳糖を分解する酵素であるラクターゼの分泌量が少なかったり、分泌されなかったりする傾向があります。
さらに、大人になるにつれてこのラクターゼの分泌量が減少するため、子どもの頃は平気だったのに、大人になってから牛乳でお腹が痛くなる人も少なくありません。
程度の差こそあれ、ほとんどの日本人が乳糖不耐症の素因を持っているとされています。

また、牛乳に対してアレルギーを持つ人にとっては、乳糖を含むサプリメントがアレルゲンとなり、アレルギー反応を引き起こす可能性があります。
このように、サプリメントに添加されている賦形剤である乳糖が、知らず知らずのうちに体調不良の原因となっているケースがあるのです。

さらに、遅発型フードアレルギーというものも存在します。
これは、アレルゲンを摂取してすぐに症状が出るのではなく、数時間後、あるいは半日くらい経過してから症状が現れるタイプのアレルギーです。
摂取直後に症状が出ないため、アレルギーであることに気づかない人も多いのが特徴です。
自分がどのような食材に対して遅発型フードアレルギーを持っているかを知るには専門の検査が必要ですが、普段の食事内容を日々記録し、体調の変化を意識することで、原因の特定につながるヒントが得られるかもしれません。
体調不良の原因が、日常的に摂取しているサプリメントにある可能性は決して低くないのです。


溶けない錠剤・カプセル、表示通り成分が入っていないことも|品質の落とし穴

サプリメント

口から摂取された栄養素は、消化管で分解され、体内に吸収されることで初めてその効果を発揮します。
しかし、市販されているサプリメントの中には、摂取しても胃の中で適切に溶けないものがあると言われています。
医薬品の場合であれば、その溶解性や崩壊性に関して厳格な基準が定められているため、このような問題はほとんど起こりません。
しかし、サプリメントは法的には「食品」に分類されるため、溶解性や崩壊性に関する明確な基準が一切設けられていません。

もしサプリメントが胃で溶けなければ、いくら摂取しても有効成分が体内に吸収されることはありません。
つまり、飲んでも全く意味がないということになってしまいます。
サプリメントが胃の中でしっかりと溶けるかどうかを調べる試験を崩壊試験と呼びます。
健康食品の品質等に関する実態調査の報告書では、サプリメントの崩壊試験において、適切な時間内に溶けない製品が多数存在したと報告されています。

この原因は、サプリメントを固めるために多量の添加物や賦形剤が使われていることにあると考えられます。
過剰に固められた結果、錠剤やカプセルが胃液の中で溶けにくくなってしまい、本来吸収されるべき栄養素が体内に取り込まれない状態になってしまうのです。

さらに深刻な問題として、サプリメントに記載されている栄養素の含有量についても実態との乖離が見られます。
多くの商品では、パッケージに記載されている通りに有効成分が含まれているケースは稀であり、実際には表示された数値以下だったという報告が多数あります。
これは、サプリメントが食品扱いであるために、医薬品のような厳格な品質管理が徹底されていないことに起因しています。

せっかく高価なサプリメントを摂取しても、表示されている栄養素が少ない上に、胃の中で溶けもしない錠剤やカプセルであれば、その効果は期待できません。
もしかしたら、あなたが日頃使っているサプリメントは、体内で全く吸収されていないのかもしれません。
本当に体調を改善したいのであれば、安易にサプリメントに頼るのではなく、普段の食事内容を根本から見直し、栄養バランスの取れた食生活を送ることが何よりも重要だと言えます。


個人の体験談は信用できない?|科学的根拠の欠如

サプリメントは「医薬品」ではなく「食品」であるため、その効果や安全性に関して信頼性の高いエビデンス(科学的根拠)が不足しているのが現状です。
これは、特定のサプリメント商品に対する大規模な臨床試験がほとんど行われていないことを意味します。

確かに、一部のメーカー側が行った臨床試験も存在しますが、その試験データだけでそのサプリメントの有効性を根拠とするには非常に不十分です。
なぜなら、大規模な調査ではなく、わずか数名から数十人程度の被験者で行われた臨床試験では、統計的な有意差を判断するための人数が少なすぎるからです。
統計的に有意差があるかどうかは、効果を科学的に評価する上で最も重要な指標の一つであり、被験者数が少ないことは大きな問題となります。
さらに、試験結果に影響を及ぼす可能性のある主観的な要素を排除する必要もあります。

真に信頼できるエビデンスとは、ランダム化比較試験(RCT)と呼ばれる、被験者をランダムに二つのグループ(有効成分摂取グループとプラセボ摂取グループ)に分け、どちらのグループに属しているかを被験者も研究者も知らない「二重盲検法」などを用いて行われる試験で得られたデータです。
しかし、サプリメントでこのような厳密なRCT試験が行われることは、費用や時間、法的規制の観点からまずありません。

また、たとえ臨床試験が行われたとしても、その試験が利害関係のない第三者機関によって実施されなければ、公平で正確なデータが得られる可能性は低くなってしまいます。
残念ながら、エビデンスの捏造(ねつぞう)が実際に発覚した事例も存在します。

サプリメントの宣伝において、その効果を示すものとして個人の「体験談」が頻繁に用いられます。
しかし、正直に申し上げると、このような個人の体験談は全く信用できません。
そもそも体験談自体が事実であるかどうかの確認が困難である上に、プラシーボ効果を考慮すれば、たとえ効果がなかったとしても、本人が「効いた」と感じることは十分にあり得るからです。
プラシーボ効果とは、有効成分が含まれていない偽薬(プラセボ)を服用しても、本人が薬だと信じることで症状が改善される現象を指します。

もし、あるサプリメントが本当に、個人の体験談で語られるような劇的な効果を持つのであれば、なぜメーカーはそれを医薬品として開発・販売しないのでしょうか。
医薬品として認められれば、その効果が公的に認められ、はるかに大きな利益を得られるはずです。
なぜ医薬品にしないのか、その理由は「効果がないから」以外には考えにくいのではないでしょうか。
効果が科学的に認められれば、それは医薬品になります。

現在「サプリメント」として販売されているものの中には、将来的に医薬品としてその効果が認められるものも出てくる可能性はあります。
しかし、現状では多くのサプリメントに関して「科学的に証明された効果はない」ということを認識しておくことが、賢明な判断をする上で非常に重要です。


まとめ|サプリメントとの賢い付き合い方

ここまで見てきたように、市販のサプリメントにはさまざまな問題点が潜んでいます。
多くの製品で品質管理や表示内容に課題があり、半数以上が不適切な表示や広告を行っているという調査結果も出ています。
特に、医薬品とは異なり「食品扱い」であるため、GMP(適正製造規範)のような厳格な製造基準を満たす工場が非常に少ないのが現状です。

また、知らず知らずのうちにサプリメントが体調不良の原因となっている可能性もあります。
特に、賦形剤として使われる乳糖によるお腹の不調や、溶けない錠剤・カプセルによる栄養素の未吸収、さらには表示されている成分量と実際の含有量の乖離といった問題も指摘されています。

そして、サプリメントの効果を示す根拠としてよく用いられる個人の体験談は、科学的なエビデンスとしては全く信用できないことを理解しておく必要があります。
プラシーボ効果の可能性や、厳密な臨床試験(ランダム化比較試験など)が行われていない点を考慮すると、安易に体験談を鵜呑みにするのは危険かもしれません。

賢い選択のために

サプリメントは、あくまでも日々の食事で不足しがちな栄養素を補うための補助食品であり、病気を治したり、劇的な効果をもたらしたりする医薬品ではありません。
体調を改善したい、健康を維持したいと考えるのであれば、まずバランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動といった基本的な生活習慣を見直すことが最も重要です。

もしサプリメントの利用を検討する際は、以下の点に注意しましょう。

  • GMPマークのある製品を選ぶ
    完全に安全とは言い切れませんが、一定の品質基準を満たしている可能性が高いです。
  • 過度な宣伝文句に惑わされない
    「これだけで痩せる」「病気が治る」といった誇大広告には注意が必要です。
  • 原材料や添加物をチェックする
    アレルギーや不耐症がある場合は特に確認しましょう。
  • 体調の変化に敏感になる
    サプリメントを摂取し始めてから体調が悪くなった場合は、一度使用を中止し、専門家に相談することを検討しましょう。

健康は、サプリメントだけに頼るのではなく、日々の選択と行動の積み重ねによって築かれるものです。

参考書籍⇒サプリメントの正体